貢献と意思決定ができるエグゼクティブへ。新入社員にこそ読んでほしいドラッカー「経営者の条件」②

会議風景イメージ

ドラッカー「経営者の条件」の中にある仕事の原則の中で、前回の記事では時間の使い方について触れました。

本記事では「貢献」「意思決定」についてお話しします。

どのような貢献ができるか

4月から働くと、初めは頼まれた作業で精一杯かもしれません。

それでも成果を上げるため、あなたは「自分の果たすべき貢献」を考えなければなりません。

手元の仕事から顔を上げ、目標に目を向けましょう。

組織の成果に影響を与える貢献や果たすべき責任は何でしょうか。

ある中学校の校長先生が生徒指導のために作ったとされる「3人のレンガ職人」という話があります。

世界中をまわっている旅人が、ある町外れの一本道を歩いていると、一人の男が道の脇で難しい顔をしてレンガを積んでいた。

旅人はその男のそばに立ち止まって、「ここでいったい何をしているのですか?」と尋ねた。

「何って、見ればわかるだろう。レンガ積みに決まっているだろ。朝から晩まで、俺はここでレンガを積まなきゃいけないのさ。あんた達にはわからないだろうけど、暑い日も寒い日も、風の強い日も、日がな一日レンガ積みさ。腰は痛くなるし、手はこのとおり」

男は自らのひび割れた汚れた両手を差し出して見せた。

「なんで、こんなことばかりしなければならないのか、まったくついてないね。もっと気楽にやっている奴らがいっぱいいるというのに…」

旅人は、その男に慰めの言葉を残して、歩き続けた。

もう少し歩くと、一生懸命レンガを積んでいる別の男に出会った。先ほどの男のように、辛そうには見えなかった。旅人は尋ねた。

「ここでいったい何をしているのですか?」

「俺はね、ここで大きな壁を作っているんだよ。これが俺の仕事でね。」

「大変ですね」

旅人はいたわりの言葉をかけた。

「なんてことはないよ。この仕事のおかげで俺は家族を養っていけるんだ。ここでは、家族を養っていく仕事を見つけるのが大変なんだ。俺なんて、ここでこうやって仕事があるから家族全員が食べいくことに困らない。大変だなんていっていたら、バチがあたるよ」

旅人は、男に励ましの言葉を残して、歩き続けた。

また、もう少し歩くと、別の男が活き活きと楽しそうにレンガを積んでいるのに出くわした。

「ここでいったい何をしているのですか?」

旅人は興味深く尋ねた。

「ああ、俺達のことかい?俺たちは、歴史に残る偉大な大聖堂を造っているんだ!」

「大変ですね」

旅人はいたわりの言葉をかけた。

「とんでもない。ここで多くの人が祝福を受け、悲しみを払うんだぜ!素晴らしいだろう!」

旅人は、その男にお礼の言葉を残して、また元気いっぱいに歩き続けた。

【訓話】3人のレンガ積み職人から考える目的と目標-営業ビズより

貢献へのコミットメント

経営者の条件でも、目的に照準を絞った社長の話が掲載されています。

彼は自分にできて人にできないことで、もし本当にうまくやれば会社を大きく変えるものは何かと自問した。

そして彼は、彼にできる真に意味のある貢献は、明日のエグゼクティブを育成することであるという結論を得た。

すでに会社は何年も前から立派な幹部養成計画を持っていた。

しかし彼は計画だけでは何も出来ない、私の仕事は計画が実施されるようにすることだと考えた。それ以来、彼は週3回昼食の帰りに人事部に立ち寄り、若い経営管理者の個人ファイルをいくつか無作為に取り出した。部屋に戻るとファイルを開けて、その若者の上司に電話をかけた。

この人は社長を数年勤めただけで退職したそうですが、彼に会ったことのない今の社員達もその後の会社の成長と成功は、この人のおかげだとずっと話したそうです。

専門家に成果をあげさせるには

あなたは就く職業の種類に関わらず、その分野の専門家として働くことを要求され、貢献することを求められます。

そのためには、専門分野の内容を他の人にわかりやすく伝えなければなりません。

他の人が理解してくれないのは、あなたが分かりやすく伝えていないと思わなければなりません。誰にでも説明できる普遍的な知識にまで落とし込むのです。

最も重要なことに集中できる

一つのことに集中せよ

私も働き始めたばかりの頃、簡単な作業ばかり先に終わらせて、思考を必要とする仕事を後回しにしました。本当は初めて任されたプロジェクトの責任者として、考えるためのまとまった長い時間が必要だったのですが…。

締め切り直前になって、上司に確認を取った時、考えの浅さを指摘され、ほぼ一からのやり直しが必要になりました。

「こんなに長い時間があったのにお前は一体何をしていたんだ。」

私と同じ運命を辿らないよう、一番重要なことは何か、考えてください。

過去を計画的に廃棄する

生産的でなくなった過去の技術や知識は捨ててください。

自分の仕事を定期的に見直し、手をつけるべきかを問い続けましょう。無条件に答えがイエスにならない限り、辞めるか大幅に減らしましょう。

生産的でない過去の技術に自分の時間という資源を投じてはいけません。

失敗を改めることは難しくないですが、成功を忘れることは難しいものです。

政治家や公的機関が批判にさらされるのは、社会的責任はもちろん、過去の取り組みを改められないことも要因の一つにあるようです。

劣後順位の決定が重要

時間の使い方でも触れましたが、どの仕事が重要なのか決めることが肝心です。

問題は、何によって重要度が決まるかです。自分なのか、仕事からの圧力か。

しかしドラッカーは決断は優先順位ではなく、劣後順位だと述べています。延期は断念を意味します。

延期した計画を後日実行するほど悪い事はありません。以前は賢明だった選択を今行っても失敗を招くに過ぎないと断じています。

しかし、人間は不合理なもので、延期が断念だと恐れるあまり、決断ができなくなるのです。

ドラッカーはこの問題に対し、「4つの原則」を適用するべきだと述べています。

  • 過去ではなく未来を選ぶ
  • 問題ではなく機会に焦点を合わせる
  • 横並びではなく独自性を持つ
  • 容易なものではなく変革をもたらすものを選ぶ

優先順位は常に現実に照らして検討・修正しなければなりません。歴代のアメリカ大統領は、就任時の優先順位のリストを総じて変更させ、優先順位の高い仕事を実現きました(多くの大統領は)。

正しい意思決定

意思決定は非常に重要な仕事です。

組織に大きな影響を与える意思決定ができる人こそ、ドラッカーの言うエグゼクティブです。

成果を上げるためには、重要なことについて少ない意思決定を行う必要があります。より根本的なことについて決定します。

決定のプロセスで時間がかかるのは、決定そのものではなく、それを実施に移す段階です。決定は実務レベルに降りない限り決定とは言えず、良き意図としか言えません。

意思決定の要因

ドラッカーは自身が出会った有能な経営者ベルトスローンの意思決定の特徴を記しています。

問題の多くは原則についての決定を通してのみ解決できることを認識していた。問題への答えが満たすべき必要条件を明確にした。決定を受け入れられやすくするための妥協をする前に正しい答え、すなわち必要条件を満足させる答えを検討した。決定に基づく行動決定そのものの中に組み込んでいた。決定の適切さを検証するためにフィードバックを行った。

意思決定にあたっては、問題が一般的か例外的かをまず考えます。一般的な問題ならば原則を通じて解決しますし、例外的な問題は状況に従って解決しなければいけません。

もっとも、仕事の中で起きる問題のほとんどが一般的なもの、あるいは一般化するべき問題です。例外と思うことも、分析すれば基本的な問題の一例にすぎないことが明らかになります。

さらに、必要条件を満たした意思決定か考えます。意思決定によって何を得たいのか、何を得なければいけないのかを考えるべきです。

ドラッカーは本の中で失敗例としてドイツ参謀本部の有名なシュリーフェン計画を、成功例としてフランクリンルーズベルト大統領の目標設定を例に挙げています。

意思決定する上では、何が正しいのかを知る必要もあります。「半切れのパンでもないよりはまし」であり、「半分の赤ん坊はいないより悪い」なのです。

最後に決定の過程を現実に照らして検証していくために、決定そのものの中にフィードバック計画を作っておきましょう。決定を行う時点で最善だと思っていても、常に成功できるわけではありませんし、以前最善の選択だったことが次も最善とも限りません。

おわりに

2回の記事で「経営者の条件」について紹介しました。

タイトルからすると年配の方向けかな?と感じる方もおられるでしょうが、むしろ新入社員こそ読むべきかと思います。

何のために働くのか、何をすべきなのか。

そんなヒントを与えてくれる、何度でも読み返したい本でした。

時間の使い方は「予定」ではなく「記録」が良い。新入社員にこそ読んでほしいドラッカー「経営者の条件」①

自己啓発書の古典で働き方や生き方を学ぼう

ドラッカーの著書を読んだことはありますか?

自己啓発書の古典とも言える「経営者の条件」。

経営学という分野を創始した経営学者ピーター・F・ドラッカーが1964年に執筆しました。

いい男への入口とも言える社会人生活のスタート。

厳しくもやりがいのある世界で戦うあなたへ、ドラッカーが薦める「本当に価値のある働き方」 を紹介していきます。

あなたは何に時間を使っているのか

時間は普遍的な制約条件

あなたはこれまで学校の課題や部活動の練習など、様々な場面で「計画的に時間を使いなさい」と言われたでしょう。そしてこれを達成することは難しいと感じた経験もお持ちなのではないでしょうか。

しかし本当は順番が逆なのです。

「時間を何に使ったのか」を先に記録するのです。 その記録と自分の感覚を照らしあわせてみましょう。思っていた時間の使い方とズレがあったのではないでしょうか。

ドラッカーは本の中で、実績をあげた大企業の経営者でも、自分がどのように時間を使っているのか正確には把握していないと言っています。

ある会社の会長は時間を大きく3つに分けていると自分では思っていた。1/3は幹部との時間、あとの1/3は大切な客との時間、残り1/3は地域活動のための時間だった。

6週間に渡って記憶をつけてもらったところ、これら3つの活動の何に対してもほとんど時間を使ってないことが分かった。 それらは、割くべきであると考えていた時間に過ぎなかった。例によって都合のよい記憶なるものが、実際にそれらの仕事に時間を使っているように思い込ませていたのだった。

例えばこの人はかなりの時間を友人の顧客からの注文に早く答えるよう工場に催促の電話をすることに使っていた。しかも注文はいつも円滑に処理されており、彼の干渉はむしろ仕事を遅らせる原因になっていた。

-ドラッカー名著集1 経営者の条件より

業種にもよりますが、あなたは仕事を始めると勤務時間の中で何をすべきか自分で判断していくことを求められます。次に何をするべきか逐一指示してくれる上司はいません。あなたの勤務時間の過ごし方をずっとチェックしてくれる同僚もいません。

あなたは自分の時間の使い方が正しいのか自分で確認しする必要があるのです。

私も新入社員として働き始めたときからずっと、時間が足りないのは色々な業務を任されているせいだと、いつも思っていました。

しかし、ドラッカーが言うように時間の使い方を記録してみると、様々な場面で時間を無駄に使っていることが浮き彫りになります。メールチェック、書類の整理、頼まれたが優先順位の低い作業。

言い訳をするのはこれらを改善してからでも良かったですね。恥ずかしい、反省すべき思い出です。

本当に時間をかけるべき仕事に時間を割きましょう。 (私は広報なので、担当する広報活動の方針策定や内部での情報収集、マスコミとの関係構築などに時間をかけるべきでした)

必要とされる時間

社会人の中でも、一般的に知識労働者と呼ばれる職業に就かれる方は、正しい時間の使い方が明示されません。

製造業などでラインに入っている方の中には、標準的な生産数と比較して能率的かどうかを判断する指標があります。

しかし、デスクワーカーや営業職など、知識労働者の方は何をなぜ行うべきかについてまず考えなければいけません。あなたは自分の視点を作業から成果へ向けなければいけません。

こうした「そもそも論」とも言える時間の使い方に関する根本的な作業には、まとまった時間が必要になります。

さらにあなたの仕事を長引かせる要因があります。人間関係が絡むとかかる時間はさらに長くなります。急げば不要な摩擦が生じますし、色々なグループがあなたの仕事と関わります。あなたの仕事が多くの人と関われば関わるほど、実際にあなたが使える時間は少なくなっていきます。

働き始めた最初は、こんなに長時間働くのは無理だと思うかもしれませんが、仕事に慣れてくると逆にこれだけしか自分のするべき事に時間を使えないのかと感じるようになるでしょう。

時間の使い方を診断する

時間の効率的な使い方を診断するために、まとまった期間で時間を記録しましょう。

(手帳には過去を記す使い方もあるのです)

ずっと記録することは難しいならば、最低でも年2回ほど1か月ずつ記録をとってみましょう。年に2回記録を取るのは、ドラッカーいわく、最初の記録で改善された仕事の進め方が、半年も経てば、恐らくまた時間を浪費しているからです。

そうして時間の記録ができれば、3つの改善に向けた行動を取りましょう。

1つ目に、する必要のない仕事や何の成果も生まない仕事を見つけ、その仕事を捨てましょう。 あなたは働き始めると上司に言われたことを全てやらなければならないという気持ちになるでしょう(とりあえずしばらくはやってみた方が良いでしょうが)。

しかし、それをあなたがやらなかったことで何が起こるかを考えてみましょう。何も起こらないならば、すぐにやめましょう。もちろんなぜこれをやらなかったのかと怒られることもあるでしょうが、その時は素直に謝りましょう。そうして仕事の取捨選択ができるようになっていくのです。 (反論にドラッカーの主張を持ち出すのはやめましょう。頭でっかちと思われて、得なことは少ないのが現実のようです)

2つ目に、その仕事はあなた以外の人間でもできることはないかと考えましょう。 新入社員として入ったばかりのあなたは、仕事を同僚に振ることはできないかもしれません。でもこれは訓練です。あなたが仕事を振る立場になるのはそう遠いことではありません。

3つ目に、あなたがコントロールできることで時間の消費を回避できることを考えましょう。 社会人になると、自分の時間を浪費しているだけではなく、他の人の時間を通していることもあります。

どんな返事が来るか恐れずに、周りの人に「あなたの時間を無駄に使っていることはないか」聞いてみましょう。お互いがハッピーになれるはずです。

(上記の2種類は、替芯に4Cという同一規格が使われています。LAMYカッコイイけどジェットストリームのほうが書きやすい…という方はぜひ一度使ってみてください)

自由になる時間をまとめる

こうしてできたまとまった時間に、あなたは本当にするべき事をしなければいけません。

締め切りのない仕事にも自分で締め切りを作るのもいいでしょう。いつまでも後回しにしていると、結局大きな時間を消費することにもなりかねません。

100%の完成度が求められる仕事は多くありません。80%でも早く上司に報告するそうすることで全員の時間が短縮できるというケースは多いはずです。

素晴らしい働きができる第一歩に

ここまでお伝えしてきた時間の使い方。習得すれば仕事はもちろん、プライベートの充実にもつながります。「働き方」がニュース番組をにぎわすことも多い現代の日本で、あなたの心と身体を守るためにも。

「経営者の条件」はまだまだ価値の高い働き方について語っています。「貢献に焦点を当てる」「最も重要なことに集中する」「正しい意思決定をする」 については、改めて本ブログで取り上げていきたいと思います。

スマホ王者は逆転するか。スマートフォン市場におけるGoogle「Pixel」を考える。

Googleが「端末からOSまで」支配するか

iPhoneの時代は終わるか。
グーグルが初の完全自社製スマホとして市場に投入した「Pixel」や「Pixel XL」端末が売れている。

今年も残り4週間となったが、Galaxy Note 7の発火問題やiPhone 7 Plusの品薄状態を受けて、米国の消費者らはPixelシリーズを新たな買い替え候補として検討している。モルガン・スタンレーは2017年にPixelシリーズはさらに販売台数をのばし、500~600万台に達すると見込んでいる。
2016年11月30日 グーグルPixelが販売好調 年内300万台、来年は倍増との予測も-

残念ながら日本市場にはまだ出回っていないが、待ち望んでいる人も多いようだ。

Google Pixel / XLの日本発売日、今すぐ購入する方法、海外レビューなどまとめ

スマホはもはや「安かろう悪かろう」の時代を脱した

私はGoogleのリファレンス機と呼べる「Nexus」ブランドを使っている。 開発メーカー独自のアプリが気に食わず、他のAndroid端末を使う気になれない。

ただ、今やiPhoneと比べて違いを明確に伝えれる方は少ないのではないだろうか?

かつてAndroid端末を選ぶ際の理由だった「防水」「SDカード対応」もiPhoneを選ぶ上で今や支障が無くなっている。(容量は後から増設できないが、256GB以上必要になることは考えにくい。もっとも、SDカードで容量を増やすよりも割高ではある)

「どのスマホを選んでも苦労することはない」
これがiPhone登場後に高度に進化してきたスマホの現在位置だ。

いわゆる格安SIMを契約し、Amazonでおすすめの端末を買う。
Huawei P9 LITE
ASUS ZenFone 3

これで全てが事足りてしまう。
3大キャリアにただ従うことしかできなかった時代に比べれば、多くの選択肢が持てる。

悩み多き現代のスマホ選び

…。
選択肢が増えるのは、良い面ばかりではない。
悩ましい現代だ。

Web担当者 学びのガイドライン

私は今、広報として働いています。  

広報活動といっても幅広い業務があるのですが、特に「コーポレートwebサイト担当者」という業務に重きを置いています。

ここでは私がweb担当者として行った情報収集や自己研鑽を振り返ります。

1.なり立てのweb担当者がまず得るべき情報

Web担当者Forum

知らなければモグリと言っても差し支えないほどに、web担当者なら一度は記事にアクセスしただろうweb担当者Forumさん。  

担当者としての日常業務はもちろん、アクセス解析、リニューアルなど必要な情報が網羅されています。

web漫画もおすすめ。

Webマーケッター瞳  

価格交渉人ネギリエ  

Webのコト、教えてホシイの!

書籍化もされています。  

Webマーケッター瞳  

価格交渉人ネギリエ

2.日常業務を向上させたいあなた  

企業などでweb担当者をされている方って孤独な方も多いですよね。

(共感できます…)  

運用のルールなど無く、日々の業務に追われている方も少なくないのでは。  

少しずつルールを策定していき、業務を「見える化」していくことで、その大変さを理解させていくことも重要です。  

Web制作・運用現場のための 「課題解決」の教科書

3.さらなる自己研鑽へ  

資格取得など、わかりやすい目標があれば頑張れる方には、こんな記事を。  

ここに出ている資格は、何も取得できていません…頑張らねば。  

企業Web担当者なら取得したいWeb解析・マーケティングに関する資格10選

義足の名ジャンパーが五輪に出てはいけないのか

f:id:be-goodman:20160725212544j:plain

議論の末、不出場という決着

ドイツの走り幅跳び選手、マルクス・レームをご存知だろうか。

義足の名ジャンパーと聞いて、ピンと来る人もいるだろう。

私は彼が五輪への出場を断念したことが残念なのだ。

健常者に勝った義足の陸上選手が巻き起こした議論−最先端技術による身体能力向上はどこまで行くのか−

義足ジャンパー、五輪なら「金」 「出場したい」で論争

走り幅跳びの義足選手は出場断念 来年の世界陸上へ規定改正も

14歳でウエイクボードをしている際に遭った事故で、右足を義足とすることを余儀なくされたレーム選手。

その後の類まれな努力の末、義足の走り幅跳び選手としてロンドンパラリンピックでは金メダルを獲得。

しかし彼の活躍はそれだけに終わらなかった。

科学が彼を助けているのか

事故から5年後に初めてスポーツ用の義足で走ったとき、「顔に風が当たり、心地よかった」。走り幅跳びにのめり込み、11年に7メートル09、13年に7メートル95と記録を伸ばした。

パラリンピックの世界で活躍し、健常者と互角に渡り合えることに大きな賞賛が集まっていた。

「互角」だったときは。

そして、14年7月にドイツ選手権で8メートル24を跳ぶ。健常者の国内トップ選手を抑えての優勝は“事件”となった。ドイツ陸連は「レームと他選手の跳躍のメカニズムは違う」とし、欧州選手権代表から外した。

彼がドイツ一、世界一になる可能性がわかった瞬間、世界は態度を変えた。

義足が彼の記録に好影響を与えている可能性が消えないとして、彼の記録を「参考記録」扱い、つまり公式なものとして認めないことを決めたのだ。

それでも彼は諦めなかった。

ドイツの名門体育大学であるケルン大学と共同で研究を行った。

結果は彼には味方しない。

南ドイツ新聞によると、ドイツ陸連は、8メートル24のレームと8メートル台の健常選手32人の、踏み切る前と後の速度の変化を比べた。踏み切り前、レームは秒速9・72メートルで走り、32人の平均10・43メートルより遅い。ところが踏み切った直後、レームの垂直方向の速度は秒速3・65メートル。32人の3・36メートルを上回る。また、踏み切り直後、レームの水平速度は0・92メートルしか減速していないのに対して、32人は1・50メートル減速していた。

遅いスピードで踏み切ったにも関わらず、彼の踏切スピードは健常者32名よりも好記録だった。

これを彼の踏切技術と捉えるか、義足に込められた科学技術の成果と見るか。

決着がつかない状況で、彼は五輪への出場を断念した。

これが皮切りとなるのか

今回のレーム選手が呼んだ議論は、再び繰り返されるのかはわからない。

現状では、彼の傑出したアスリートとしての能力が今回の問題を生んだと考えているからだ。

今後、こうした選手が多く存在したときに、量的、質的にも充実した調査が行われることを期待するしかない。

奇しくも今日、ロシアのオリンピック候補選手が、一部出場を認められる可能性がIOC会長の会見で明らかになった。

ロシア 厳しい条件付きで五輪出場へ IOC理事会決定

「近代オリンピックの父」クーベルタンとオリンピズム